高橋源一郎の最新作『恋する原発』(講談社)は、「不謹慎」の塊のような小説だ。「3.11のチャリティーAVをつくる」「靖国神社は韓国も中国も関係なく祀られるようになった」「学校では文字を教えずに、セックスを教える」などなど、軽妙な語り口ながら、そこには思わず眉をひそめてしまうような描写が連発されている。世間の自粛ムードをまるで無視したかのようなその不謹慎さは、作家からの挑発にも読めてくる。 どうしてこんな小説が生まれてしまったのか? なぜ、彼はこの作品を書かずにはいられなかったのか? そして、ここに描かれているものは、一体何なのか? 高橋氏を直撃した。 ――そもそも、この小説はどのような意図で書かれたものなのでしょうか? 高橋源一郎(以下、高橋) 10年くらい前に、『群像』(講談社)で、『メイキングオブ同時多発エロ』という小説を2年くらい連載していました。これは2001年に発生した9.11米