遺伝子組み換えでできた「無花粉スギ」=森林総合研究所提供 【山本智之】花粉を全く出さない「無花粉スギ」を、遺伝子組み換え技術でつくることに成功したと、森林総合研究所(茨城県つくば市)が21日、発表した。これまでは、優秀な性質の苗を選抜したり、掛け合わせたりして開発が進められてきた。今回の技術を応用すれば、地域の気候に合ったあらゆるスギの品種を「無花粉化」できるという。 研究チームは、スギの雄花の中に、花粉へ養分を供給する組織があることに注目。細菌の遺伝子などを発芽前のスギの細胞に導入すると、この組織の働きを抑えることを突き止めた。見た目は普通のスギと同じように雄花ができるが、花粉は全くつくらないという。 森林総研の石井克明・森林バイオ研究センター長は「国内では規制があり、まだ屋外に植えることはできない。ただ、将来は花粉症対策の選択肢の一つとなる可能性があり、安全性の検証を進めたい」と