野口勝明さんらが会社のガレージの水槽で育てた「温泉トラフグ」。重いもので1キロを超えるという=栃木県那珂川町北向田 塩分を含む温泉水を使って高級魚のトラフグを養殖する試みが、「海なし県」の栃木県那珂川町の山あいで進められている。1200匹を育てられる養殖場が近く稼働、1年後には1トンを地元旅館などに出荷する計画だ。「新たな地域の特産品に」と関係者は夢を思い描いている。 養殖に使うのは、町内のゴルフ場でわき出る温泉水。約1.2%の塩分を含み、生育に害を及ぼす硫黄などの不純物がほとんどないという。 「海水魚を育てられるのでは」。町内で水質や土壌の調査会社を経営する野口勝明さん(52)が思いついたのがきっかけだ。海水魚の陸上養殖を研究している東京大学大学院の金子豊二教授(魚類生理学)に相談したところ、「面白い。世界的にも例のない試みだ」と技術協力を得られることになった。 養殖する海水魚は