photo by Mario Inoportuno 彼女が言っていた言葉はいつだって俺の頭を内側から叩きつけてくる。あの日あの時の文芸部の部室でキミは言った。「どうしてそんなに怖がってるのか」と。怖がっている訳じゃない。現実を見ていただけだと当時の俺は思っていたのだった。夢見がちな少年少女という奴は実のところ期間限定のキャンペーンに過ぎず、大人になろうとしていた俺には、そんなものは不要なはずだったのだ。 しかし、不要なはずのその期間限定キャンペーン応募ハガキは、二十歳になった良い大人の俺のポケットの中に未だ入ったままだった。実に情けない。もっと早く応募するべきだったのに、俺はこれまでどうしてきたのだろう。 キャンペーンに申し込むだけなら命一つで済むだけなのに、俺はやっぱり怖がっていたのだった。夢なんて見すぎて、現実に愛想を尽かされたらどうなるのだろうと、俺は毎日毎日恐れていたのだった。そん