97 巷間よく知られているように、日本に存在する企業のほとんどは中小企業である。中小企業庁(2016)によ ると、2014 年 7 月現在、日本の企業数に占める中小企業の割合は 99.7%、従業者総数では約 7 割が中小企業 に所属している。かくも大きな割合を占めている中小企業ではあるが、その広報活動については研究が進んで いるとは必ずしも言えない。 たとえば、冨田(2008)は、中小企業研究をステークホルダーとの関係構築という観点から捉え直し、下請 け構造と規模の小ささが中小企業にとってのステークホルダーを限定的なものとし、その結果、中小企業にお いては広報の認識、戦略、実践が不十分であると述べているⅰ 。このことは、日本において中小企業の広報に 関する研究が必要であることを示唆しているが、管見の限りでは、冨田(2008)以降に関連の研究が数多く出 てきているわけでもなく、宮部(2012