ナチズムとオカルティズムのつながりは、かつてから指摘されていた。ただ、ナチズムは、公然とオカルティストを批判し、公的には反オカルティズムの姿勢をとっていたので、両者の関係を否定する研究者もいる。しかし、そのイデオロギーの中心にあるアーリア人種の絶対的優位性、その対極にユダヤ人を筆頭とする他の「劣等人種」をおく極端な優劣の対比は、かなり特殊な思想から出てきたものと考える方が自然だろう。オカルティズムは、その名が示すとおり、occult=隠されたもの(叡知)であり、そもそも非公認の思想であるほかないものだ。その意味ではオカルティストであることを進んでカミングアウトすることは、原理的にありえない。オカルトを拒否する姿勢を露にすることで、自らの思想的立場を隠ぺいするのがオカルティストたちの常とう手段である。筆者も、ナチズムとオカルティズムは強いつながりを持っていたと考えている。 オカルティズムに