河西宏祐『路面電車を守った労働組合 私鉄広電支部・小原保行と労働者群像』は、全労組の組合員必読の内容といってもよい。 例えば効果的なストの打ち方については、「ストライキは最も効果的な時期をねらってやる。たとえ一時間のストであっても数倍の効果を発揮する。」と述べている。 具体的には、「一番いい時期をみて、ストライキを三日やれ。いまから運動に入ったら、会社がいちばん困るのは花見どき、夏山、秋の季節がいちばんいいときだ。そういう時期に、二日ないし三日のストライキをやれ。無制限ストみたいなバカなストライキはやらない。」 これが、本のタイトルにもなっている、広電労組のリーダー・小原保行の闘い方だった。 だがストの間の資金はどうするのか。 小原の答えは、「特産品を売って歩け」だった。 短期で最も効果のある時期に集中してストを打ち、それまでの資金は、「地区労の組合員の居住者名簿をつくって、一軒一軒まわっ