新版『図書館の発見』を特徴付ける3つの志向として,先ほども挙げた宗教的な信念,党派的な発言,そして自説への妄執を指摘しておく. 「宗教的な信念」とは,公共図書館および書籍を物神化し,読書(もしくはその背景としての教養主義)を絶対善とし無謬なものとする姿勢を指す.例えば,次のような箇所.「図書館へ入ったとき,誰でも,本に囲まれた空間のすがすがしい空気に,背筋の伸びる思いがするのではないだろうか」(14頁)僕はこの箇所まで読み進んで,思わず本を放り出して読むのをやめようかと思ったくらい恥ずかしかったことを告白する.ここにあるのは,もはや読書を絶対的な「善」とし,その価値を煽動する宗教指導者の姿に他ならない. あまりにも「人」に寄りかかりすぎている司書への評価にしても,同様である.前川の言(105頁以降)に従えば,目録も分類もインターネットも知らなくても,専門職としての「図書館司書」は成立し,務