(前回から読む) 岡 インターネットの普及によって、ほとんどの人は、豊かになったのではなく、むしろ奪われたんじゃないか、と僕は思うんですね。新聞が危ないとか、本も危ないとか、あるいは書店が危ないとか、取り次ぎも危機だとか、いろいろ大変じゃないか。それらは少し前まで、僕たちの日常に深く組み入れられていたのに。 小田嶋 確かに業界的にもそうだけど、個人で言うと、俺たちだって全員が、携帯代とか、プロバイダー料金だとかいうことで、薄ーく、万遍なく取られているよね、情報税みたいな形で。 岡 そう、実際に今だって取られているわけでしょう。グーテンベルクは与えたけれども、インターネットは奪ったと考えてもおかしくないんじゃないか。 小田嶋 インターネットがどういう意味を持つのかって、大きくは、これからしばらくたたないと分からないと思うんだけど、でも、とにかく壁が取れたことだけは確かで、その壁が取れたことに