年々新しい食品や飲料が目まぐるしく登場してきた中で、消費者の好みと食品メーカーの商品戦略に「定番回帰」の動きが目立ってきた。 昨年秋に鮮明になった深刻な景気低迷という逆風をものともせず、ロングセラーの食品が何十年もかけて培った味や品質、こなれた価格などへの「安心感」が消費者の心をとらえているようだ。 メーカー側には、商品開発の費用やリスクを極力抑えながら売り上げを確保したいとの思惑があり、大ヒット商品の追求よりも、定番ブランド品の販売促進や一部改良に力を注いでいる。 乳酸飲料メーカーのカルピス(東京)は、創業90周年記念品として今より甘く濃厚な「1953年復刻版」を4月に発売した。5月までの限定で50万本の出荷を目指す。2日に兵庫県西宮市のスーパーで開いた試飲などの催しで、堺市の主婦(36)は「カルピスの素朴で飽きない味が好きで、親子2代にわたって飲んでいる」と笑顔を見せた。 カルピスが狙