日雇い労働者の街、東京・台東区山谷。泪橋交差点の近くにコーヒー好きの「聖地」とも呼ばれる喫茶店「カフェ・バッハ」がある。2000年の沖縄サミットの晩餐会で出された「バッハ・ブレンド」。コーヒー嫌いで知られるクリントン米元大統領がそのおいしさに感動しお替りまでしたという。 店員がきびきびと動き、清潔で明るい店内は、昼間から焚き火をし酒盛りしている人もいる山谷の街とはちょっと異質な雰囲気を漂わせている。 だが、オーナーの田口護氏は山谷で店を開いていることに意味があると話す。 厳しい生活を続けている山谷の人たちにこそ良質なコーヒーを飲ませたい、様々な理由で山谷に流れ着いた人達に交流の場を提供したい、そういう思いで40年間、店を続けているという。 一杯450円。決して安くはないが、ひと時の安らぎを求め多くの山谷の住民が「カフェ・バッハ」を訪れる。急激な景気後退で日雇い労働者の環境も日に日に厳しくな