ご存じのとおり、私はフランスと日本を行き来しています。今回は自由から囚われの身へ、恐れ知らずから強い猜疑心へといったように、たった1週間の間に大きく状況が変わりました。 パリに戻ったのは3月10日のことでした。私は不安とともにシャルル・ド・ゴール空港に降り立ちました。どこから来たのか、発熱があるかなど確実に尋ねられるだろうと思いました。私は新型コロナウイルスの発生源であり、感染が進む「危険な」アジアからやって来たのですから。 カフェで平気でくしゃみをしていた 実際は何も尋ねられませんでした。ウイルスをうつしてしまう危険性については何も、です。私以外にマスクをつけている人はいなかったし、恐怖や不安も見受けられませんでした。手を消毒するアルコール液もなければ、質問も勧告もありませんでした……。 パリに到着後、市中心部の自宅近くにあるカフェに飲みに出かけたのですが、そのとき隣のテーブルとの近さや