「平成」が暮れる。新たな時代の到来を目前に、神奈川で起きた「平成の事件」を振り返る。戦後最悪とされる19人が犠牲となった相模原障害者施設殺傷事件では、殺人罪などで起訴された植松聖被告(29)の障害者への差別的な言葉が社会に大きな衝撃を与え、今なお同調する意見がはびこる。初回は、19回にわたる接見と34通の手紙のやりとりから、被告の「実像」を追った。(神奈川新聞記者・石川泰大) 古びたクリーム色のドアが、音もなくゆっくりと開く。室内に入ってきたその男は、小柄な体をくの字に折り曲げて深々と頭を下げ、はっきりとした声で言った。 「本日はお忙しい中、ご足労いただきありがとうございます」 4日、横浜拘置支所(横浜市港南区)の面会室。少し痩せて髪が肩下まで伸びたが、礼儀正しく、言葉使いが丁寧な「どこにでもいる普通の青年」という印象は初めて接見した2年前から変わらない。 「障害者はいなくなればいい」―。