ぼくが麻生首相の医療費発言を問題だと思うのは、それが政治の放棄を意味するからだ。 こうした福祉に絡む話題で、自己責任論が飛び出すたびに不思議に思う。ぼくはいわゆるネットサヨク的な言説にさほど共感はできない。けれども、「不幸な状態にある人」を自己責任という言葉で切り捨てようとする態度には酷く違和感を覚える。何故ならぼくは、国家をはじめとする共同体の存在意義は、「いかに不幸を減らすか」にあると考えているからだ。そうでなくては、共同体の意味がない。「運や実力に恵まれた人はそれに見合った利益を手にし、そうでない人はそれなりの人生を送るのが当然だ」…これは端的にいって政治の否定だ。まるっきり野生のルールである。 この野生のルールは、今の社会では資本主義という形で限定的に運用されている。これは競争原理が共同体全体の利益を底上げするという信念に基づいた選択だろう。会社単位にまで話を縮小すれば「成果主義」