デザイン思考を実践する上で最も重要なのは、「目的」であると指摘する、KIRO(知識イノベーション研究所)代表の紺野登氏。日本企業の成功、失敗事例からデザイン思考の真価を考える。 デザインチームだけでデザイン思考を導入し、イノベーションを起こすことは不可能だ(写真はイメージ)Photo by Highways Agency 「課題発見」にこそ活きる デザイン思考は「課題解決型」だと表現されることが多い。しかし私は課題を解決することはもちろんだが、その手前の段階からのいわば「課題発見型」の方法論だと考えている。顧客や社会、あるいは自社のビジネスにとって、デザイン思考を通じて何が本質的問題で、一番大切なのかに気づくかという意義は大きい。漠然としたイノベーションへの試みではなく、市場の隠れたニーズ、暗黙知を獲得し、埋めるべきギャップを明らかにし、誰に対して、どんな価値を提供しえるかを明確にする。そ