今にも動き出しそうな蛇やカマキリに見入る人もいれば、本物そっくりの竹の子に驚きの声を上げる人もいる。三井記念美術館で7月13日まで開催中の「超絶技巧! 明治工芸の粋(すい)」では、作品の細部を見ようと展示ケースにおでこをぶつける人が続出。ガラスを拭く係りの人が大忙しとなっている。 なかなか目にする機会のない、技巧をこらした工芸品が並ぶこの展覧会を、学芸員の小林祐子さんに案内していただこう。 260個の鉄パーツで、自由自在 首をもたげたこの蛇は、生きている蛇のように体を自在に動かすことができる。260個の鉄のパーツをつないで作られているのだ。 「少しずつ大きさを変えた円筒形のパーツを鋲(びょう)で止めています。パーツが多ければ多いほど細かな動きができるわけです。ガチャガチャという感じではなく、しっぽの先まで引っかかりなく、なめらかに動きます」 と小林さん。これは「自在」置物と呼ばれるもののひ