ギャルに根菜を取られた。 当時の私が決めていたギャルの定義は3つ。スカートの丈が極端に短いこと、思ったことをストッパーなく発言すること、そして声がデカいことだった。そして後ろ2つにおいて、チカは群を抜いていた。「暑い」も「親ウザい」も「バイト休みでラッキー」も、チカの心模様はクラス中が知っていた。 高3の昼休みのことである。教室で友達4人とお弁当を食べていたら、机と机の間をチカがダンスしながら移動していた。ギャルの移動手段は歩行ではなくポップスなのである。私の横を通り過ぎようとした時、ふと立ち止まり、「いや!」と言って私のお弁当に目を留めた。「いや!」は、標準語でいうところの「あら!」である。正確には、それに相手を咎めるようなニュアンスが含まれたもの、と言えばいいかもしれない。私は何も悪いことはしていない。「なんや」と私が言い終わらないうちに、チカはれんこんのきんぴらをチョイッと指でつまん
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