毎年2月に横浜を舞台に開催される『TPAM – 国際舞台芸術ミーティング in 横浜』。例年は、海外から多数のカンパニーや舞台関係者が集い、作品を観ながら活発な意見交換がなされる。だが、コロナ禍が猛威を振るう今年は、その方針を変換。劇場上演作品数を縮小し、オンラインや展示形式の作品の割合を増やした。 そんななか数少ない上演形式で届けられるのが、DULL-COLORED POPを主宰する谷賢一の『福島三部作』だ。福島県における原発問題を全3部、計6時間の上演で描いたこの大作は、2018年に第1部を先行上演、2019年に3作品を一挙上演し10000人以上を動員。2020年度の『岸田國士戯曲賞』を受賞するなど、高い評価を得た。 1961年に始まり、2011年の原発事故までを追う同作は、演劇的な喜びと同時に、日本が歩んできた不条理に満ちた戦後史を骨太に描いている。全世界に向けたオンライン上演も行う