日本を代表するビジネスマンガといえる「島耕作」シリーズ。大手家電メーカーで働く主人公が、現代企業版「のらくろ」のように出世をする過程で、様々なビジネスや事件を体験していきます。ストーリーには、著者の弘兼憲史先生の綿密な取材を基にした実話エピソードもちりばめられていて、企業、特に製造業の ケーススタディーの素材としても活用できるほど。 そこで、このコーナーでは、早稲田大学ビジネススクール(大学院商学研究科)で技術経営・経営戦略論を教える筆者が、島耕作シリーズのケーススタディーを通じて、ビジネススクールの講義のエッセンスをお話しします。 【第3回】はこちらをご覧ください。 「暗黙知」と「形式知」 前回に引き続き、島耕作のパンメーカーの話です。 松下電器がどのようにパンの質的情報である「美味しさ」を形にしたかをお話しする前に、知識には「暗黙知」と「形式知」という二つの異なる性質があるということか