2013年12月30日に急逝してから10年。伝説的なバンド・はっぴいえんどでの活動や、『ロング・バケイション』をはじめとするソロ作品を通して、大滝詠一が残した楽曲とその歌声はいまも色褪せることがない。しかし2003年に最後のシングル曲「恋するふたり」を発表したとはいえ、大滝の本格的な音楽活動は1984年のアルバム『イーチ・タイム』以降、約30年にわたって封印された。彼が曲作りを、歌うことをやめてしまったのはなぜか。没後10年を機に、その謎を数々の発言から辿る。(全2回の後編/前編を読む) 恋するふたり ◆◆◆ 「3年間に11枚も、よくアルバムを作ったものだと思います」 大滝は1974年になると、福生市の自宅に開設する福生45スタジオの工事をはじめ、みずから運営するナイアガラ・レーベルを発足させた。 そしてレーベルの第1弾となるレコード、シュガー・ベイブ『SONGS』のレコーディングを開始し