格差社会に関する関心が高まっている。実際、「全国消費実態調査」によれば1999年から2004年にかけて30歳未満の所得格差が急拡大した。それまでは、将来の所得格差の大きさを表す消費の格差の拡大は観察されていたが、所得格差としては顕在化していなかった。不況の深刻化が、若年層の所得格差を拡大させた。このような若者の所得格差の状況が「下流社会」という言葉が流行語になった背景にある。 若年層における所得格差拡大は、超就職氷河期がもたらしたフリーターと失業の増加によって引き起こされている。それでは、どうして超就職氷河期がもたらされ、それがフリーターの増加につながったのだろう。 最大の理由は、不況がもたらした労働市場における需要の低下である。ただ、需要が低下しただけではフリーターや失業の増加につながらない。賃金が低下す れば、労働需要はそれだけ増えるからである。実際、マクロ統計でみると90年代に下方硬