(前編から読む) 内田 『人生2割がちょうどいい』の中で、小田嶋さんは“理想の雀士”と呼ばれていたでしょう。 小田嶋 弱い、早い、明るい、という。 内田 そう。その負けっぷりというのは、社会人として、本当に大事な資質ですよ。僕は負け際の悪い人間だから、逆によく分かるの(笑)。 小田嶋 どんなことが負け際の悪さというんですかね。 内田 それは見事に、負け際の悪い人というのがいるんですよね。 ―― 見事ですか。 内田 ええ。経営者とかは絶対、負け際、負けっぷりのいい人が向いています。例えば、ビジネスで何かがうまく当たったとします。優秀な経営者というのは、その最中に、あっ、これはもうだめだ、これは失敗した、って分かるんですって。 まだ表面上は、売り上げは伸びているんですよ。顧客だって増えている。社員もみんな、「もう社長、大成功ですよ」とか言って舞い上がっている。なのに、「いや、あかん」と、みんな