東京電力福島第一原発事故により農業用ため池の水底に沈んだ放射性セシウムをほぼ全て除染でき、環境にも優しい技術を群馬高専(前橋市)の青井透特命教授(環境工学)が開発した。福島県天栄村での実証実験で有効性が証明された。新技術は同県内の除染作業への採用が検討される。 (菅原洋) 「ため池に沈んだセシウムは農業用水への影響が懸念されるだけではなく、豪雨などで周辺環境に流れ出し、干ばつで露出すれば風で飛散する恐れもある」。青井特命教授は新技術開発の意義を強調した。 すり鉢状のため池には周辺から水が流れ込んで、セシウムが蓄積しやすい。国と福島県が二〇一二~一三年度、同県内のため池約千九百四十カ所を調べたところ、約三割の底土から、国が責任を持って処分する「指定廃棄物」に当たる一キロ当たり八〇〇〇ベクレル超が検出された。ため池は民家や農地の近くにもあり、国と同県は国費での除染を検討している。