10月23日、シリアで3年間拘束されていたフリージャーナリストの安田純平氏が解放された。その直後、安田氏の拘束が判明したときからネットで根強かった、「自己責任論」を理由とした安田氏への批判が溢れかえるようになる。こうした批判は、2004年のイラク日本人人質事件でも見られたものだ。このときも、日本人を誘拐し人質として拘束した武装勢力から提示された自衛隊の撤退という解放条件に対し、一部のメディアが自己責任論を展開し被害者をバッシングしていたのだ。 立命館大学の松尾匡教授は著書『自由のジレンマを解く』(PHP研究所)の中で、日本型「自己責任」論は「悪いとこどり」をしていると指摘する。イラク日本人人質事件から14年経ったいまでも起こる「自己責任論」について、改めて日本型「自己責任」論の問題点を探りたい。 固定的社会と流動的社会での責任概念の違い 拙著『自由のジレンマを解く』(PHP研究所)で、20