わいせつ円盤の山 ぼくは四方を山に囲まれた小さな村に生まれた。地図に記された名前とは違うのだろうけれど、地元の人たちはみな「東の山」、「南の山」、「西の山」、「北の山」と呼んでいた。いい加減なものだった。山といってもどれも険しい山じゃなかったから、小さい頃から山菜採りにでかけたり、野鳥採りのかすみ網をしかけたり、かっこうの遊び場だった。 けれど、大人たちから厳しく立ち入りを禁止されていた山がひとつだけあった。それは「西の山」だった。小さい子には「鬼が出る」、「神かくしにあう」なんて言っては、決して近寄らせようとはしなかった。 それがわいせつ円盤の山だと知るのは、もう少し成長してからのことだった。ぼくらの村の子供は、あの山のことを知ることで、子供でなくなる境を一歩またぐのだった。 わいせつ円盤の山の歴史 わいせつ円盤の山のことは、ある日、年長の若い衆の、ちょっとませたのから聞かされた。だいた