連合赤軍のリンチ殺人事件について、誰もが感じる最初の疑問は「なぜ12名もの仲間を殺害したのか」ということに違いない。 永田洋子や坂口弘によれば、それは共産主義化のイデオロギーということになる。イデオロギーとは「観念の体系」と訳されるが、この事件の場合、「物事の判断を下す根拠となる思想」と理解すればいいだろう。 ■統一公判一審「中野判決」 共産主義化のイデオロギーを紹介する前に、まず、裁判でどう判断されたかを紹介しておく。1982年の統一公判の第一審判決では永田洋子に死刑、坂口弘に死刑、植垣康博に懲役20年が言い渡された。有名な「中野判決」である。 なぜ有名かというと、永田を、「執拗さ、底意地の悪さ、冷酷な加虐趣味」と酷評するにあたり、「女性特有の」と一般化した表現を使ったため、大いにひんしゅくを買ったからである。そして、判決理由には、中野武雄裁判長の永田に対する並々ならぬ怒りがこめられてい