各地のスーパーや商店が、万引き被害への対策に苦慮している。いっこうに減らない被害に、万引き対応に要した人件費まで、店側が客に請求する動きが広がっている。 4月下旬の午後7時、埼玉県中部にある大型スーパーの食品売り場は、買い物客でごった返していた。「万引きGメン」の保安員原智美さん(27)=警備会社「SPユニオン・ジャパン」所属=が客の一人に目をとめた。 「あの人、やりますよ」 精算済みのレジ袋を買い物かごに入れた中年男が、不自然にきょろきょろしている。牛肉をかごに入れ、人気のない隅に移動し、肉をレジ袋の中へ移した。同じ手口で、牛乳や野菜を次々とレジ袋に入れていった。 原さんは後をつけ、男が店を出た瞬間、腕をつかんだ。 「レジを通さなかった商品がありますね?」 「ちゃんと買ったよ」 「うそ! 防犯カメラに映ってますよ」 男は観念した。被害品は15点、計6262円。事務所で男は