九州大生体防御医学研究所の中山敬一教授(細胞生物学)らの研究グループは18日、たんぱく質「CHD8」にがん細胞を増殖させる機能があることを突き止めたと発表した。CHD8の機能を阻害する方法を研究することで、新たな抗がん剤の開発につながる可能性があるという。 19日付の英科学誌「ネイチャー・セルバイオロジー」電子版に掲載される。 中山教授によると、がん細胞の増殖を抑制する遺伝子p53の研究を通じてわかった。p53にはがん細胞のように急速に増殖する細胞を死滅させる働きがあり、がん患者の多くはp53が欠落するなどの異常が見られる。しかし、胎児期の細胞はがん細胞のように急速に増殖するにもかかわらず、p53が働かずに細胞が死ぬことはないという。 グループは、胎児期に細胞が死なないのはCHD8の量が多いことに関係しているのではないかと仮説を立てた。p53はあるがCHD8のないマウス、両方ともないマウス