アップルの多機能情報端末「iPad(アイパッド)」の登場を契機に、国内で電子書籍の普及が現実味を帯びている。紙の本は時代遅れとなり、書店は姿を消すのか。ビジネスチャンスと存亡の危機を前に、慌ただしさを増す動きを追った。 ◇ 「書籍1冊か電子データを提供してもらう以外、手間や費用はかかりません。価格や販売国は出版社の皆さんで設定できます」 7月初旬、東京都内で開かれた出版業界の見本市。米ネット検索大手グーグルの担当者が熱弁をふるった。言葉遣いは丁寧で、ブースを埋めた来場者に協力を求める姿勢に徹している。 会場全体に熱気が漂う。米国を中心に急伸する電子書籍が「日本でも間もなく普及する」と見込んだ企業の担当者が押し寄せ、4日間の来場者はおよそ8万7千人。前年を2万人以上も上回った。 グーグルは来年初めまでに日本で電子書籍サービス「グーグルエディション」を立ち上げる方針