過去に一度、原稿のやり取りである著者にこっぴどく怒られたことがある。 その著者はもともと怒ると怖いと業界内では有名だったのだけど、僕はそれまでの数年の付き合いで、辛うじて怒られたことはなかった。 だけど、ある日、突然のごとく怒られることになった。 実際には怒られたどころではなく、それはもう激怒だった。 社会人になってあんなに激怒されたことは後にも先にもない。人から怒られて泣きそうになったのも小学生以来だった。 そして、僕が連日徹夜してゲラに入れていた赤字は見事なまでにほぼスルーされることになった。それどころか、ゲラに入れた赤字を消す作業を泣く泣くした。 「入れた赤字を消す」という謎めいた作業の詳細はあまり書けない。とにかくそういう作業があったのだ。 もう数年前のことだけど、この著者とのやり取りを冷静になって振り返ってみると、「編集」という仕事について考えるきっかけをくれたものだった。 もと
![編集による「わかりやすく」の弊害|鈴木洋平(編集者) |note](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/1391d7aa82205f39ac9a24b090bd34c132893275/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F13636115%2Frectangle_large_type_2_e37719a0d31b840a5984c3a5b58aff2b.jpeg%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D85%26width%3D1280)