筑波大付属視覚特別支援学校(東京都文京区)の生物室の机に、「動物B」の頭蓋骨(ずがいこつ)が6個並んだ。先週まで観察した「動物A」(コヨーテ)より一回り小ぶりだ。とはいえ、同じ種類の頭蓋骨が6個も並んでいるのは、なかなか壮観である。 骨の授業では、基本的に骨は生徒1人につき1個が準備されている。しかし、動物の頭蓋骨を集めるのは大変だ。生物を担当する武井洋子先生(56)は、常にインターネットのサイトや教材カタログに目を光らせている。だが、骨格標本はほとんどが海外製で、しかも手ごろな値段ではなかなか売っていない。たまたまいい骨を見つけても、予算申請が間に合わず、自腹で買ったこともあったらしい。 骨は時間がたつほどもろくなってくる。教材の骨の中には、約40年前にこの授業が始まったころからずっと使われている年代物もあり、全体的に黄色く変色していたり、外れた骨を針金で補修してあったり。生徒たちは授業
昨年10月、筑波大付属視覚特別支援学校(東京都文京区)の生物室では、43年目となる恒例の授業が始まろうとしていた。 「今日から本物の骨を触ります」 2時間続きの授業の冒頭、中学1年A組の生徒7人に、生物を担当する武井洋子先生(56)が語りかけた。このクラスは全員、点字を使って授業をする全盲の生徒だ。「えっ、まじで!」と一様に驚く生徒たち。毎年くり返されるおなじみの光景だという。武井先生は続けた。「私たち(盲学校)の文化では、触らないと見たことにならないからね」 生物室は4人で使える大きめの机2個と教壇があり、一般の学校の理科室をコンパクトにしたような造りだ。後方にあるロッカーには模型や標本、分厚い図鑑などの資料がびっしりと入っており、雑然とした感じが、どこか懐かしい。私が通った中学の理科室との違いといえば、黒板やホワイトボードがないことくらいだろうか。
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