日照時間の長い夏場に時計の針を進めるサマータイム(夏時間)制度導入の是非を検討するよう安倍晋三首相が自民党に指示した。 2020年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策が狙いだという。 確かに、涼しい時間を活用できれば電力を節約でき、省エネ効果が見込める。日没までの余暇時間が増えれば消費拡大が期待できる。 しかし、制度をめぐる議論は、何度も浮上しては消えてきた。 1993年には資源エネルギー庁長官の私的懇談会が設置され、議論を重ねた。その後、超党派の議員連盟も発足し、繰り返し法案提出を目指したが、実現できていない。 実現に至らなかったのは難点が立ちはだかっているからだ。日常生活やビジネスへの影響の大きさだ。 コンピューターのシステム対応や航空・鉄道ダイヤの変更という課題がある。一日の活動時間が長くなるため、労働強化につながることも懸念されている。