この秋も、幾度か苦しい思いを堪えているうちに深まっていった。きのう、仕事をしている合間に、ふと気付いた。もう、どうぞしてどこかに潜り込もうとするのはやめる。そうしないことをわたしは自分に許す。あれもこれも、したくてしたことではなかった。とはいえ、食を得るために頭を下げること、膝を折ることならば、かえって躊躇なく行うことができる。そうではなくて、自分をとくに好む人を探すことはこの先もうない。探すことに費やす時間は、ない。相当にひどいことをいわれようと、殴られない程度に穏やかなやりとりのできる人なら、仕事ぐらい一緒にできる。どこにいても心は自由だ。そうして自分を徐々にほどいていく。 あかいしゃけ しろいしゃけ