石原慎太郎東京都知事が尖閣諸島購入計画を打ち出したのが4月14日。現在、中国ではネットを中心に抗議の声が広がっている。反日ムードは、これからどんどん加熱していくのだろうか。中国情勢に詳しいジャーナリスト、富坂聰氏はそれを否定する。 「今後、中国をさらに刺激するような事態が何度も発生すれば別ですが、現時点で『反日』がフレームアップする可能性は高くないと考えられます。今回の件に対して、中国国内での報道のトーンは、過去に反日デモが発生した2005年や2010年と比較すればずっと抑制的。中国当局による外交ベースでの抗議はあれど、民間が大規模な抗議行動を起こすとは考えにくいと感じます」 その理由とは何か。実は、今の中国には尖閣問題に構っていられないほど難題が溢れているのだ。富坂氏が続ける。 「例えば内政面では、当局は今年秋に開催される中共十八大(第18回中国共産党全国代表大会の略。同国を統治している