昨年末の12月27日に、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会が「今後の労働契約法制及び労働時間法制について」と題する報告を取りまとめ、同審議会が厚生労働大臣に答申して以来、ホワイトカラーエグゼンプションという言葉が一気にマスコミに踊るようになった。与党の政治家も今年の選挙を意識してか、様々な発言をしている。特に連立与党の公明党は、答申前から法制化に否定的な意見を述べてきているし、自民党の議員の中からも慎重論が出てきている。その主眼は残業代がなくなることが問題だという点にあるようだ。マスコミの姿勢も、この制度を「残業代ゼロ制度」と呼び続けている朝日新聞を筆頭にかなり懐疑的なように見える。 しかし、本制度をめぐる問題構造はもっと複雑でねじれている。そして、このねじれの構造に気がつかないまま、安易な議論が横行している点に最大の問題点があると、私は考えている。本稿では、このねじれを解きほぐすこ