北海道の歴史をここに住んだ人々の生活史とすれば、それは日本列島と同じ程度の古さにさかのぼることができるでしょう。しかし、東北6県と新潟県を合わせた面積に匹敵するこの広大な島の歴史が内地と著しく異なる点は、他の地域が古くから農耕文化に染まっていったのに対して、北海道はつい近年まで縄文時代とさほど変わらぬ漁猟生活が営まれていたことでしょう。 明治以前までの蝦夷の地はおそらく有史以来一度も斧を入れたこともない大原始林に覆われ、そこに住む人々は鳥獣を狩り、野草を摘み、川や海の魚を捕って生活していました。彼らは蝦夷の先住民(原日本人とも言われている)でしたが、文字を持ってなかったのでその歴史はよく分かっていません。 本州とは古くから交流もありましたが、和人がこの地に渡り、独自の生活をするようになったのは室町時代、14世紀の末頃からでした。移り住んだのは青森県下北半島の豪族であった蠣崎氏。蠣崎氏は蝦夷