「不安? なくはないですよ。でもどうにもならないから、先のことは考えないようにしている」 トヨタ自動車九州の宮田工場(福岡県宮若市)で働く派遣社員の20代の男性は、スマートフォンの画面を見ながら淡々と話す。新型コロナウイルスの感染拡大が雇用に落とす暗い影から目をそらすかのように。 同県宗像市のJR教育大前駅。徒歩数分のコンビニエンスストア付近に、午後3時前になると近くのマンションから男性が集まり、次々と到着する小型バスに足早に乗り込んでいく。行き先はトヨタ宮田工場。彼らはそこで働く派遣社員らだ。 福岡は最初に緊急事態宣言の対象となった7都府県の一つだが、工場は自粛の対象外。だが、世界に目を転じれば、雇用クライシスが着実に忍び寄る。 世界恐慌以来最悪の状況 国際通貨基金(IMF)はロックダウン(都市封鎖)など世界的な移動制限の影響により、2020年の世界の経済成長率をマイナス3%と予測。「世