東芝と新日本監査法人が、東芝の米原発機器子会社、ウエスチングハウス(WH)の巨額減損をめぐり最後の詰めに入った。3000億円規模の「のれん代」を減損すれば東芝の自己資本は再び底をつき「国有化」の文字がちらつき始める。 減損額は3000億円規模と見られ、東芝本体のバランスシートに計上されているWHの「のれん代」の大半を取り崩すことになる。繰延税金資産の取り崩しも予想されるため、自己資本は水面すれすれまで目減りすると見られる。 昨年来、日経ビジネス東芝取材班が追求してきたように、東芝不正会計の病根はここにある。 部下に「チャレンジ」を強要した理由 東芝は2006年、西田厚聰社長の時代に6000億円近くを投じてWHを買収したが、リーマン・ショックと福島第一原子力発電所の事故で目算が狂った。WHが買収時点で期待した収益を生むことはなく、バランスシートには「かつての企業価値」を示す「のれん代」だけが