中秋の名月の12日、奈良時代に奈良市の猿沢池に身投げしたと伝わる采女(うねめ=女官)の霊を慰める「采女祭」が同池周辺で行われた。月明かりの下、2隻の管絃(かんげん)船が優雅に水面を巡った。 奈良時代に帝(みかど)の寵愛(ちょうあい)を受けた采女が、帝の心変わりを嘆き入水したという伝承にちなんだ伝統行事。この日は、JR奈良駅周辺などで采女の故郷とされる福島県郡山市の「郡山ミスうねめ」や、天平衣装に身を包んだ女性ら約200人による時代行列も行われた。 夜には猿沢池に流し灯籠がきらめき、管絃船が巡回。着物姿の「花扇(はなおうぎ)使」が秋の七草で飾った長さ約2メートルの花扇を池に献じた。