涼州の詩<王翰> 葡萄の美酒 夜光の杯 飲まんと欲して琵琶 馬上に催す 酔うて沙場に臥す 君笑う莫れ 古来征戦 幾人か回る りょうしゅうのし<おうかん> ぶどうのびしゅ やこうのさかずき のまんとほっして びわ ばじょうに もよおす ようて しゃじょうにふす きみ わろうなかれ こらいせいせん いくにんか かえる 涼州の地に駐屯した出征兵士にとっては、名物の葡萄のうま酒を、月の光に照らされる杯で飲むのがもっとも趣きがある。今、それを飲もうとすれば、馬上でかき鳴らす琵琶の調べが酒杯を促すようである。 今、戦(いくさ)に出ようとするこの砂漠に酔い臥すことがあっても、人々よ笑わないでほしい。昔から遠く西域への戦にかり出された人たちの中で、幾人が無事に故郷に帰ることができただろうか。