慢性的な赤字経営に陥っている市営バス事業を支援するため、大阪市交通局が今年度、地下鉄事業会計から67億7000万円の財政支援を行う案をまとめたことが6日、わかった。同交通局は「財政支援がなければ、20年度決算からバス事業は経営健全化団体に陥り、自主的な見直しが難しくなる」などと支援理由を説明するが、3月に策定したばかりの経営計画を1年も経たずに撤回することになる。また21年から予定していた支援を前倒しすることで、23年度までの支援額は、10億円以上膨らむ見通しになっている。 地方公営企業は本来、独立採算が原則とされる。このため東京など他地域に比べ割高な運賃で黒字を維持している地下鉄事業から、バス事業に財政支援しようとする同交通局の方針には、市役所内部からも「地下鉄だけを利用している乗客に説明がつくのか」「赤字路線の見直しなど抜本的なバス事業の改革をまず行うべきだ」といった厳しい声がある。