神戸市が移転事業を進めている市中央卸売市場(兵庫区)の跡地に、兵庫県が初代の知事、伊藤博文(1841−1909年)も執務した当初の県庁舎を復元する計画を検討している。新しい観光スポットとしても期待されるが、「県と市双方の発展に役立つ」として土地の無償提供か格安での譲渡を前提としている県に対し、所有者の神戸市は「適正価格での買い取りを」と譲らない構え。県も市も財政難は共通しており、両者の思惑は平行線だ。 市場は昭和7年に完成。神戸市民の台所として親しまれてきたが、老朽化が進んだことなどから、保冷庫棟や管理棟、加工場など一部を現在の東側の埋め立て地などに移転する事業が平成11年度からスタート。21年度に完成する。 一方、県庁舎は明治元年から半年間、この付近にあったとされ、県の計画では平成23年以降、市場の移転跡地約4万平方メートル内のうち、約2000平方メートルに木造平屋建ての建物を復元。内部