その日が何年で、何日だったのかということは、正確に覚えていない。 お盆が近づく、ある暑かった日の夕方。 小学生高学年くらいの私は、父と家の裏庭にいた。 父と何か庭仕事をしていた時に、家の中からテレビの音が聞こえてきた。 「今年で、戦後3△年になります。今年の終戦の日は・・・」 父が手を止め、立ち上がり、大きく伸びをしたので、 私も一緒になって、伸びをした。 山が近かったので、小高い裏庭は既に陰っていたけれど、 東側に遠く見える街並みは、まだ強い日差しを浴びて白く光っている。 そういえば、そのコントラストが妙に好きで、 その時間帯のその場所からの眺めが、私は結構好きだった。 隣の父の顔を覗き込むと、遠くの街並みよりも、もっと遠くを見ているような目をしていた。 もともと寡黙で、厳格で、頼もしい父は、 特に何を話すでもなく、ただ黙って遠くを見ていた。 その頃、繰り返し、厳しく両親から「平和教育」