秋場所6日目、NHK大相撲中継で名実況があった。朝乃山-豪栄道戦、取組中に行司の木村玉治郎が足をもつれさせて転倒し、土俵下に落ちていった。NHKの佐藤洋之アナウンサーは、こう実況した。 「張っていきました豪栄道、もろ差し狙いだ。巻き替えた朝乃山、右四つ。豪栄道が左の前まわしを引いている。あ、行司が消えた。上手投げ~、勝ったのは朝乃山。朝乃山が勝ったんですが、玉治郎が土俵の外に吹っ飛ばされてしまいました。朝乃山、これで連日の殊勲の星です」 文字通り、玉治郎は画面中央から左へ、サッと消えた。「転倒した」「つまずいた」ではなく「消えた」と表現した言葉選びのセンス、適度に驚く抑揚、ハプニングに固執せず朝乃山の白星をたたえてフォローするなど、アナウンスの技量が凝縮され、機転が利いていた。 NHKアナウンサーの話を総合すると、実況する時は、土俵を直接見るよりも、モニターを見る方が多いという。というのも