中国共産党に批判的な本を出版・販売していた香港の書店関係者5人が失踪した事件が、香港社会に衝撃を与えている。失踪時の状況から中国当局が越境して香港内で拘束したとの見方が出ており、香港での言論の自由や司法の独立を保障した「一国二制度」を揺るがしかねない事態になっている。 「香港の自由と安全のため、政治的な拉致にはノーを突き付けよう」 5人の釈放を求め、民主派団体が呼びかけた10日の抗議デモには、主催者発表で約6千人が参加。市民らは「一国二制度」に対する強い危機感を表した。 失踪したのは、香港中心部にある「銅鑼湾書店」の関係者。100平方メートル足らずの書店だが、党批判や指導者のスキャンダルなど本土で販売できない書籍を扱ってきた。昨年末から店は閉まったままだが、店先には今も「2017年習近平(シーチンピン)崩壊」など刺激的な題名の本のチラシが並ぶ。 親会社の出版社の株主で、作家でもある李波氏が