ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/marukawa (11)

  • 新参の都市住民が暮らす中国「城中村」というスラム

    深圳市中心部の「城中村」とされる福田区崗厦村。密集するアパートの家賃は破格の安さだ(筆者撮影・2023年8月) <中国経済は「日化」するか(2)> 第1回の最後で、中国の都市には住宅を所有できる階層と所有できない階層がいると書いた。住宅を所有できる階層とはどんな人たちであろうか。北京市、上海市、広州市、深圳市といった大都市の中心市街地に近いところで新築マンションを買おうとしたら日円で1戸1億円は優に必要である。年収が少なくとも1000万円はないとこんなに高い物件は買えないだろう。ところが、中国の都市にはそこまでの年収はなくてもマンションを所有できる人たちがいる。それは1990年代前半までにこうした大都市の住民だった人たちである。 <画像>送電線もガス管も建物の外を這う密集した「スラム街」 その頃までは住宅は勤め先が従業員に支給してくれるものであった。決して広いアパートではなかったが、タ

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  • 不動産バブル崩壊で中国経済は「日本化」するか

    中国のGDPの約3割に影響を及ぼす不動産市況の悪化が経済の「日化」につながるのか。短期集中連載(3回)で論じる。写真は、建設が中断した大連市の高層マンション(筆者撮影) <(1)日不動産業の発展と比較して> 私は今年(2023年)8月下旬、コロナ禍明け後2回目の訪中をして深圳と広州を訪れたが、前回(3月)の訪中時に比べて中国経済の現状と前途に対する悲観的な声を多く聞いた。不動産バブルの崩壊はもはや誰の目にも明らかなようである。 中国不動産業の動向を測るバロメーターとして、一般には国家統計局が毎月発表する新築住宅の価格指数を見ることが多い。2023年8月の全国35都市(省都などの大都市)を見ると、1年前に比べ指数の上昇した都市が北京市や上海市など18都市、下落した都市は広州市や深圳市など17都市。これだけ見ると、はたしてバブル崩壊といえるのか首をかしげてしまう。ただ、現地で聞くと、「

    不動産バブル崩壊で中国経済は「日本化」するか
  • EVから自動運転へ飛躍する中国の自動車産業

    ファーウェイの自動運転用頭脳を搭載した北京汽車グループの「極狐(Arcfox)アルファT」(4月19日、上海自動車ショー) Aly Song- REUTERS <中国のEV販売台数はすでに日の全自動車販売の6割程度に達するだけでなく、ファーウェイのような通信機器メーカーの参入で「知能ネット化」や標準化もどんどん進んでいる」> 中国の電気自動車(EV)産業が昨年後半以来すごい勢いで伸びている。 中国のEV販売台数は2014年の7万5000台から2018年の125万6000台まで快調に伸びたが、2019年後半に購入に対する補助金が打ち切られたことから、2019年は前年に比べて4%減少した。 なお、ここでいうEVとは、中国でいう「新エネルギー自動車」のことを指す。新エネルギー自動車には純電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)が含まれる。最近では中国

    EVから自動運転へ飛躍する中国の自動車産業
  • 恒大集団の危機は中国バブル崩壊の引き金になるか

    無謀な経営が危機の原因である以上、救済は行われない可能性が高い(広州市に建設中の恒大サッカースタジアム、9月26日) Thomas Suen-REUTERS <恒大の問題は、高利を謳って従業員や取引先に売りつけた投資信託など帳簿外の負債が多いことだ。既に債務超過であるとすれば、経営悪化が自己責任であるだけに当局も破産させざるをえない。中国経済への波及は止められるのか> 中国の大手不動産会社、恒大集団の経営危機が世界の株式市場を動揺させている。 9月23日に恒大集団が社債の利払いを行う直前には、利払いができなくなるのでは、という見方が広がり、世界の株価が下がった。しかし、その後利払いが行われたため、世界の株価も少し戻した。しかし、この先恒大集団は年末までに700億円以上の利払いが控えている。そのどこかでデフォルトに陥る可能性は「99.9%」だとみられている(『財新周刊』2021年第37期)。

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  • 台湾産パイナップル、来年も買いますか?

    中国の輸入停止をった台湾産パイナップルを売り込む蔡英文(3月3日、台北) Ben Blanchard-REUTERS <この春、中国が害虫を理由として台湾産のパイナップルを輸入停止にしたとき、蔡英文は大々的に抗議し、日でも台湾を助けようと多くの人が台湾のパイナップルを買った。あの騒動は結局、何だったのか> 今年2月26日、中国の税関は台湾からのパイナップルの輸入を3月1日をもって暫時停止すると発表した。その理由として中国税関は、昨年来、台湾から輸入されたパイナップルにコナカイガラムシ(学名でいうと、Planococcus minor、Dysmicoccus neobrevipes、Melanaspis smilacisなどだそうである)が検出される事件が多発したことを挙げた。 これに激しく反発したのが台湾の蔡英文総統である。中国による輸入停止措置は言いがかりであり、政治的圧力であって、

    台湾産パイナップル、来年も買いますか?
  • 新型肺炎、中国経済へのダメージをビッグデータで読み解く

    <第1四半期はマイナス成長、その後はV字回復するが、通年でも一定のダメージは避けられない> 昨年末に中国・武漢で発見された新型コロナウイルスによる肺炎には2月25日までに中国全土で7万8064人が罹患し、2715人が亡くなった。これは2002年から2003年にかけて中国を中心に世界で8000人余りが感染し、774人が亡くなった重症急性呼吸器症候群(SARS)をはるかに上回る惨状である。 致死率が10%だったSARSに比べ、新型コロナウイルスによる肺炎の致死率は3.5%程度と低いが、感染から発症までの潜伏期間が長く、発症しないうちに他の人に感染してしまうという厄介な特徴がある。2003年のSARSの時に比べると、今回の中国政府の対応はかなり迅速だったのだが、それでも新型コロナウイルスの強力な感染力に追いつくことができなかった。 中国では1月27日から2月18日までは毎日数千人も患者が増え続け

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  • 泥沼化する米中貿易戦争とファーウェイ「村八分」指令

    トランプ政権は、中国製品に理不尽なまでの制裁関税をかけ、ファーウェイに対するアメリカ製品の輸出を禁止した。トランプに態度軟化の気配は見えず、中国はこれ以上被害が広がらないうちに折れたほうが賢明ではないか> 米中貿易戦争は私たちの想像を超える最悪のシナリオをたどってきている。 昨年12月の米中首脳会談で3か月間は追加的な関税引き上げを行わない「休戦」が合意されて解決へ向かう兆しも見えたが、今年5月10日に交渉が決裂。アメリカ中国からの輸入2000億ドル分にかける追加関税を10%から25%に引き上げた。中国もそれに対する報復だとして5月21日にアメリカからの輸入600億ドル分に対する追加関税を10~25%に引き上げた。 トランプ政権はさらに対中関税引き上げの「第4弾」として、中国からの輸入3000億ドル分に対して最大で25%の追加関税を課す計画も発表した。これまではアップルやナイキなどアメ

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  • 「顔パス社会」は来るか?

    北京で開催されたグローバル・モバイル・インターネット・カンファレンス(GMIC)に展示された顔認証ソフト(4月27日) Damir Sagolj- REUTERS <中国では顔認証システムが商店や改札でも使われようとしている。日でも広がれば財布のなかの大量のカードはいらなくなるが、人々の抵抗感が強くて「顔パス社会」は到来しないかもしれない> 今年3月に中国から訪日した学者が「今回の出国管理は『顔パス』でした!」と言っていた。彼は中国の出国審査のところで顔認証の自動ゲートを通ってきたのである。 そのゲートは三段階になっていて、最初のゲートでは飛行機の搭乗券をセンサーに読み取らせ、次のゲートではパスポートを読み取らせ、最後のゲートで親指の指紋と顔を読み取らせる。するとパスポートの写真と、読み取られた顔の画像とが機械によって照合されて、出国手続きが完了する。 日でも2010年から出入国管理に

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  • QRコードの普及と「おサイフケータイ」の末路

    レストランの支払いもテーブルにきたレシートのQRコードを読み込むだけ(広東省広州市) Bobby Yip- REUTERS <一時は世界的な展開を期待された「おサイフケータイ」が、スマホによる決済手段としてローテクのQRコードに凌駕されつつある。何が悪かったのか> NTTドコモは今年4月から新たなスマホ決済サービス「d払い」を始めることを発表した。スマホの画面にバーコードやQRコードを表示し、それをお店で読み取ってもらうことで商品の購入代金を支払う仕組みだとのことである。 QRコード中国のスマホ・マネーから逆輸入 これは以前このコラムで紹介した中国のスマホ・マネー、すなわち「支付宝」(アリペイ)と「微信支付」(ウィーチャットペイ)の仕組みと同じである。日人は今まで「日が先進国、中国は後進国」という序列を当然視してきたが、ことスマホ・マネーに関しては中国で成功した技術をドコモが取り入れ

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  • イノベーションの街、深セン

    <「ニセ香港」として建設された深センが、今や中国のシリコンバレーともいうべき国際的イノベーション・センターに。移住者が多く、中央政府の監視から遠いゆえの自由闊達さがそこにはある> (写真のツインタワービルは、中国最大のSNS「微信(ウィーチャット)」を運営するテンセントの新社) 前回、ドイツ・マイセンの磁器の例から、「模倣は創造の始まり」と論じましたが、同じことは中国の深センの歩みを見ても思います。深センは元はと言えば、イギリスの植民地であった香港の中国復帰を促すために、香港と境界を接する中国側に香港とそっくりの都市を再現するという構想で建設された人工の町であり、いわば「ニセ香港」として出発しました。2000年代後半には、深センで多数の中小企業が多くの模倣品を含む「ゲリラ携帯電話」を生産していたことも記憶に新しいところです。 深センでは今でも模倣品生産が盛んなのですが、その一方でまともな

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  • 安くて快適な「白タク」配車サービス

    北京郊外の自宅からウーバーの車に向かう女性。車中でも仕事をこなすために利用している Kim Kyung-Hoon- REUTERS 「白タク」とは許可なくタクシーを営んでいる車のことを指します。日ではタクシーなどの営業用自動車は緑地に白数字のナンバープレートを付けていますが、白タクは一般の自動車と同じく白地に緑数字のナンバープレートを付けているので、この名前があります。 日ではほとんど見かけなくなりましたが、中国をはじめ途上国ではけっこう見かけます。空港や大きな駅で「クルマ乗っていかない?」と声をかけてくるのはあらかた白タクでしょう。そんなのに乗ったら、安くて快適どころか、高くて不快な結果になることは必定で、生命の危険さえありますから決して引っかかってはいけません。空港で声をかけてくる人は無視し、まずはタクシー待ちの行列を探す、というのが未知の国での鉄則です。 しかし、中国で最近急速な

    安くて快適な「白タク」配車サービス
    mamma_mia_guangzhou
    mamma_mia_guangzhou 2015/12/08
    「優歩(ウーバー)」は中国で大きな市場を獲得しており、広州市はウーバーが展開されている350都市のなかでもっとも乗車の注文数が多いのだそうです。
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