「自信を持て、って言われますけどね、私は「自分がダメなヤツ」と」認識してからすべてが始まったんですよ」 と、その経営者は言った。 「私はね、貧乏な家庭に育ちました。それこそね、大学へ行くお金もなかったくらいです。いや、食うや食わず、ってわけじゃなかったですけどね、オヤジがあまりうまく働ける人じゃなくてね、母は随分苦労していたみたいです。 で、私は高校を出てすぐに働き始めました。ある製造業の営業マンとしてね。今なら大卒しか雇ってくれないでしょうが、当時の私は怖いもの知らずで、知り合いの人に頼み込んで、なんとか働かせてもらったんですよ。 もう家に負担はかけられない、そんな思いでした。 当時はお金がとにかく欲しくて、夜遅くまで一生懸命働きました。営業は働けば働くほど成果が出る職種で、しかも成果主義じゃないですか、当時は稼げるのが楽しくてね、成績で一番を取ると、金一封が出るんですけど、それがほんと