人気作家を数多く輩出している『このミステリーがすごい!』大賞に、最終選考委員の満場一致で選ばれた新川帆立さんの『元彼の遺言状』(宝島社)が1月8日、刊行された。 主人公は、美人で優秀だが、気が強くてお金が大好きという強烈なキャラクターの弁護士、剣持麗子。「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という前代未聞の遺言状を元彼が残したことから、ストーリーが始まる。 麗子は依頼人と共謀して、数百億円ともいわれる元彼の遺産の分け前をねらうが、事件は思わぬ方向に転がっていき、果ては殺人事件まで起きてしまう…。 結末まで息もつかせずに読ませる「相続ミステリー」なのだが、法律を少しでもご存知の読者であれば、物語を彩る豊富な知識に驚かれるだろう。それもそのはず、著者の新川さんは、現役の弁護士でもある。 東大法学部から司法試験に合格。大手法律事務所を経て、現在は企業のインハウスロイヤーとして働きながら、作家とし