加藤康男著『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』(ワック 2014年)(以後、「なかった」と略す)は、関東大震災時の「朝鮮人による暴動」は流言ではなく実際にあったのだ、と主張している。そして、その「証拠」と称して、大量の新聞記事や手記の類を引用している。 「品川は三日に横浜方面から三百人位の朝鮮人が押寄せ掠奪したり爆弾を投じたりするので近所の住民は獲物を以て戦ひました。鮮人は鉄砲や日本刀で掛るので危険でした。其中に第三連隊がやってきて鮮人は大分殺されましたが日本人が鮮人に間違はれて殺された者が沢山ありました」(「北海タイムス」大正十二年九月六日)(P.44) 「目黒と工廠の火薬爆発 朝鮮人の暴徒が起って横浜、神奈川を経て八王子に向って盛んに火を放ちつつあるのを見た」(「大阪朝日新聞」大正十二年九月二日)(P.170-171) 「こうした証言は、あげれば際限がないほど多くを数える」(P.4