「なんでまたこんなことになってしまったんだろう...?」。きっと今、ドナルド・ツァン(曾蔭権)香港特別行政長官はそう思い続けているはずだ。 2005年に香港特別行政区の初代行政長官だった董建華氏が「健康不安」を理由に任期途中で辞職した後、行政長官が外遊や休暇などで香港不在時にその代理を務める政務長官の職にあったツァン氏が二代目行政長官に格上げされた。しかし、香港の憲法ともいえる「香港基本法」はこの時、「行政長官の任期中の辞職」を想定した後任人事について規定がなかったため、代理行政長官を格上げして董氏の任期終了(~07年5月)まで代行させるべきか、いやそれでは「民意」を得ていないからやはり正式な二代目行政長官の選挙を前倒しで行うべきだ、と、香港政府及び中央政府でさまざまな議論が噴出した。 とはいえ、その時「民意だって? おこがましいやつらだ」と市民は考えていた。というのも行政長官は香港市民の